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オレゴンワインの先駆者ジ・アイリー・ヴィンヤーズ

1979年、フランスでミシュランと並び強い影響力を持つゴ･エ･ミヨ誌は、世界33ヶ国から300本を超えるワインを集め、大規模なブラインド･テイスティングとなる『ワインオリンピック』を開催。ジ･アイリー･ヴィンヤーズの「サウスブロック･リザーブ･ピノ･ノワール1975」がピノ･ノワール部門トップ10にランクインし、アイリーの名が一躍世界に知られます。
翌年のジョセフ･ドルーアン社主催のピノ･ノワールを集めたブラインド･テイスティングにおいても、アイリーの同ワインはシャンボール・ミュジニィと僅差で2位に入賞。この快挙には、オレゴン産ピノ・ノワールの可能性が世界へ発信する事となります。
以降、ドルーアン社はオレゴンにワイナリーを設立するなど、多くの造り手がオレゴンのワイン生産に進出しました。

オレゴン州ウィラメット･ヴァレーに初めてピノ･ノワールを植えたパイオニアとして知られるジ・アイリーの創設者、故デイヴィット･レット。
”パパ･ピノ”の愛称と共に、今ではワイン銘醸地となったオレゴンの象徴的存在として、現在も称賛され、語り継がれています。
現在は、ディヴィッドの次男のジェイソン･レットが経営･栽培･醸造すべてを管理。
自然酵母による発酵、出来る限り人的介入を避けた自然な造りを基本としています。
偉大な父から引き継いだパイオニア精神と哲学はジェイソンの緻密な仕事ぶりと共に、2世代にわたって、畑やワイナリーを支える長年働くスタッフに支えられています。

550本のみ瓶詰めされた貴重なキュヴェ

多方面で活躍するワインジャーナリストの佐藤吉司。酒類専門紙「酒販ニュース」ワイン編集責任者を20年以上務め、2018年12月に退職。
同年まで日本ソムリエ協会教本の編纂にも携わり、オーストラリアとニュージーランドを担当。ワインイベント「ピノ･ノワール･セレブレーション･ジャパン」運営委員を務め、2015年にジェイソン･レットによるセミナーを実施しました。
以後親交を温め、ジ･アイリー滞在中の2018年、ジェイソンの提案により2樽のピノ･ノワールを仕込みました。

《正規輸入元資料より》
オレゴン取材中の2017年夏のこと。「オレゴン･パパ･ピノ」である父デイヴィッド･レットから次男ジェイソンが継いでからもジ･アイリー･ヴィンヤーズの繊細･優美なピノ･ノワ−ルのスタイルは変わらず、むしろ表現力は高まり、精緻になっていることをとても不思議に思っていました。
代を継いでスタイルを維持する造り手は、米国では非常に珍しい。是非とも収穫･仕込み期間中、そのワインが出来るまでの過程を直に見てみたい、観察してみたい。「何週間か滞在させてほしい」と2代目当主ジェイソンに頼んでみました。するとジェイソンは、「滞在するなら自分のワインを造ることが条件」と言うのです。
「ワインジャーナリストは、ワインを評価したり、ワインづくりについて説明したりするけれど、ほとんどのジャーナリストは現場を知らない。以前、あるジャーナリストにここでワインを造りなよ。たぶんジャーナリストとして、見えてくるものが大きく変わるよ、と提案したことがある。しかし、実現しなかった」。私はジェイソンの提案に飛びつきました。最終的に自分で造ったワインを買い取ることになっても、余りある成果が得られるはずだと、考えました。

自社畑ローランド･グリーンのブドウを使用。自然発酵、足踏みピジャージュ。
古樽による熟成16ヶ月を経て、無清澄・無濾過で2020年3月5日に550本を瓶詰めした貴重なキュヴェです。

優しいルビーレッドの色調。デリケートなアロマからスミレ、赤系果実の香りが徐々に立ち上ります。 瑞々しい口当たりで、果実味、スパイスを感じる味わいに綺麗な酸が溶け込み、心地よい余韻が長く続きます。

ラベルは、ブドウ畑を野ネズミから守るコヨーテをモチーフに佐藤氏自らが描きました。背後はアイリー･ヴィンヤード。 カリグラフは地元作家に依頼し、アイリー調の文字に仕上げています。