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プライベート用から世界垂涎のワインへ、元祖スーパータスカン

元祖スーパータスカンの代表格サッシカイアを手掛けるワイナリーがテヌータ・サン・グイド。
オーナーであるインチーザ・デッラ・ロケッタ家先代のマリオ･インチーザ侯爵は、無類のワイン好きでボルドーワインを好んで飲んでいました。
彼はボルゲリの領主ゲラルデスカ家の令嬢と結婚し、広大な領地を引き継ぎます。 第二次世界大戦でフランスワインが手に入らなくなったことで、カベルネ・ソーヴィニヨンの苗木を入手し、その土地にプライベート用ワインを造り始めたのがサッシカイアの始まりです。 ワインはやがて大変な評判を呼び生産を拡大、1970年代になると徐々に世界的な販売を開始しました。

サッシカイアは当初、イタリアの原産地呼称法上、トスカーナで認められている原産地呼称を名乗ることができませんでした。
しかしその卓越したハイクオリティはリリース直後から明らかで、トスカーナの規定を超越したという意味から『スーパータスカン』と称されるようになります。 1980年代には熱狂的なスーパータスカンブームが全世界へと波及していきました。

1978年にイギリスで最も権威あるワイン雑誌、デキャンターが主催するブラインド・テイスティングにて、ベスト・カベルネを受賞。 1985年ヴィンテージでは、イタリアワイン初となるワイン・アドヴォケイトにて100点を獲得。 1994年にはボルゲリ・サッシカイアとしてイタリアで唯一、単独ワイナリーでのD.O.Cへ昇格。
イタリアのD.O.C法が認める製法ではなかったため原産地呼称を名乗れなかったサッシカイアが、ついにイタリアの法律を変えた歴史的な瞬間でした。

ダークホース的なサッシカイアになり得る2022ヴィンテージ

フィネス、バランス、酸を備えたボルドーワインのトラディショナルな魅力と、厳格な伝統に囚われない、イタリアワインらしい肩の力の抜けた優雅で堂々たる気品を感じさせるサッシカイア。
サッシカイアが造られるボルゲリ地区は、同じトスカーナにある銘醸地、キャンティやブルネッロ・ディ・モンタルチーノとは異なる地中海性の温暖な気候が特徴です。 恵まれた日照量と一日の寒暖差の大きさ。これらの要因がブドウの凝縮感を高めながら、肉厚でジューシーな果実を育てるのです。
また砂質、石灰質、粘土質が入り組んだ独自の土壌は、海が近いことによりミネラル分も豊富。ボルゲリの複雑なミクロクリマは、多様な国際品種の栽培も許容し、トスカーナの他のエリアとは違った自由なワイン造りを実現させています。

ボルゲリ特有の微気候により、酸とフレッシュさのバランスが取れた優れたヴィンテージとなった2022年。
秋の気温低下と雨によって病害虫の発生が抑えられ、冬の降雨により土壌は十分に保水。 春の一時的な寒波が発芽を抑制し、蕾が自然に選別され、健全なブドウの基盤を形成しました。 夏は厳しい暑さが続きましたが、恵みの雨と気温の低下により順調に果実が成熟。他の生産者より早めに収穫を開始し、畑の標高に応じて段階的に行われました。
醸造面では、カベルネ・フランの比率を調整し、選果やマセラシオン、樽熟成期間の見直しなど、細やかな管理を実施。その結果、フレッシュさとエレガンスを備えた、長期熟成に耐えるワインが生み出されました。

新樽率40%、1回使用樽40%、2回使用樽20%のフレンチオークのバリックにて約23カ月間熟成。ステンレスタンクに移し、最終選別し、ブレンド。瓶内にて最低3カ月間熟成。
濃厚なルビーガーネットの色調。ブラックチェリー、ブラックベリーなどの凝縮した果実香に、タイムやローズマリーなどのハーブに甘いスパイス、杉や土のニュアンスが複雑に重なります。 しなやかなテクスチャー、豊かな果実味に緻密ながらしっかりとしたタンニンが調和しています。
2022年の特徴である瑞々しい酸が全体を美しく引き締め、エレガントなフィニッシュから長い余韻へと続きます。

デキャンタ誌では「2022年は、凝縮感や酸味、垂直的だが現状はタイトに纏まったストラクチャーがあり、ダークホース的なサッシカイアになり得る」と語られる、十分な長期熟成ポテンシャルを秘めた仕上がりです。