世界三大ピノ・ノワール産地の一つに数えられるニュージーランドの南端セントラル・オタゴ。
リッポンが居を構えるのは、その中でも標高330メートル前後に位置するワナカ湖周辺。
創設者一族であるミルズ家がこの地を手に入れたのは1912年の事でした。
1800年代後半まで、ニュージーランドの南島ではブドウは栽培されていませんでしたが、1895年以降にイタリア人研究者によって行われた地質調査ではセントラル・オタゴがブドウ栽培に適している可能性が指摘されていました。
事実、セントラル・オタゴはブルゴーニュと同じ標高で、気候も同様の大陸性気候。寒暖差があり、大きな日較差により、ブドウがじっくりと成熟するという理想的な条件に恵まれています。
しかしながらセントラル・オタゴで商業目的のワイン生産が進んだのは近年になってから。
そのムーブメントの中心を担ったのがリッポンを設立したロルフ・ミルズです。
祖先が移住、所有していたワナカに戻り、実験的にヴィティス・ヴィニフェラのブドウを30種以上植樹。
長年かけて、この土地に合う品種を選定しました。
その後、専門家の反対を受けつつも、気候的なデータに勇気づけられ、 1982年に商業用のブドウ畑を開墾。
1989年に最初のワインをリリース、セントラル・オタゴにおけるワイン造りのパイオニアとしての第一歩がスタートしました。
現在はロルフ・ミルズが息子であるニック・ミルズがワイナリーを受け継いでいます。
元々ニックはフリースタイル・スキーの選手として知られ、21歳の時に国内チャンピオンに輝いたほどの腕前。
1998年の長野オリンピックでもその活躍を期待されていましたが、怪我により断念、夢は打ち砕かれてしまいました。
その年に彼は渡仏し、ブルゴーニュの名門ジャン・ジャック・コンフュロンやドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ、ニコラ・ポテル、アルザスのドメーヌを含め名だたるワイナリー6軒で修業。 2002年にリッポンに戻り、ワイン造りの指揮をとることとなりました。
陸続きになっているリッポンの自社畑。ニックはブロック毎の特徴、ミクロクリマなどを理論的に捉え、理解しています。
テロワールに忠実なワインを生み出すことに取り組み、「生きているワインをボトルに詰めようとしている」と述べています。
畑はいまだフィロキセラの被害を受けていない、全てが接ぎ木なしの自根で、マサル・セレクションを行っています。
大地には火山性土壌が強い圧力で成形された岩『シスト』が広がり、ワインに豊かなミネラルと重厚感と凝縮感を与え、長期熟成のポテンシャルをもたらします。
ビオディナミ農法と、新世界では珍しく灌漑に頼らないブドウ栽培を実践。
試行錯誤の末にピノ・ノワール、リースリング、ゲヴュルツトラミネール、ソーヴィニヨン・ブラン、ガメイ、世界で2haのみ栽培されているオスタイナーの6品種を栽培しています。
ワインの栓には「ナチュラルではない」という理由からスクリューキャップは使用せず、ディアムコルクに統一。
出来る限り自然に寄り添い、ワナカのテロワールを表現したワイン造りを常に追求しています。
「ワインの香りだけでなく、口に含んだ時に感じる”フォルム”や”テクスチャー”にも注目してほしい」とニックは語ります。
ブルゴーニュワインを思わせるエレガントな味わいは多層的な含みがあり、質感は極めて緻密。
気品の中に充実したエネルギーが圧縮され、時間と共に力強く開くようなスタイルが魅力です。
長い熟成による美しい変化も期待できる珠玉のワインを是非お楽しみください。
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